少しずつ人の往来が再開し始めた、2022年の秋。ワカペディアチームは今までとはちょっと違うアートの旅に出かけようとしていた。行き先は、時空を超えた江戸の町。と言っても、タイムマシーンに乗るわけではなく、2023年にローンチ予定のメタバース上(仮想空間)に再現された現代の江戸、『江戸バース(Edoverse)』に招待してもらえることになったのだ。德川宗家19代徳川家広氏が町を監修し、Shinwa Wise Holdings株式会社の子会社がNFTアート(代替不可能なデジタルアート作品)などをコンサルティングしている『江戸バース』について、同株式会社の代表取締役社長、倉田 陽一郎氏に解説してもらいながら、一足先にお届け!
Shinwa Wise Holdings株式会社代表取締役社長・倉田 陽一郎氏とは?
愛知県で生まれ育ち、絵ばかり描いていた倉田氏に転機が訪れたのは、小学校四年生の時だ。ある日おばあちゃんが家に置いていったニュートンの本を読んだ時、雷に打たれたかのような衝撃を受けたと言う。それまでテストの点数はごく平均的だったにもかかわらず、その日を境に、まるで覚醒したかのように学力が飛躍的に上がったのだ。テストでは満点ばかり取るようになり、大人でも読まないような科学の専門書を、取り憑かれたかのように読み漁った。半年間の猛勉強により東京大学理科二類に進学したが、その後経済学部に編入し、卒業後は外資系金融機関に就職。科学や数学にのめり込む傍ら、学生時代からアートに熱中していたこともあり、1997年に投資顧問株式会社を設立し、2001年には当時顧客であった、シンワアートオークション(現・Shinwa Wise Holdings株式会社)の代表取締役を引き継ぐ形で就任した。
2021年には、画像等のデジタルデータをブロックチェーン技術で追跡可能にすることで、唯一無二の価値を持たせるNFT(Non-Fungible Token/意味:非代用性トークン)とアートを組み合わせ、アート作品が転売された場合でも作者に報酬が還元されることを可能にした「NFTアート」の開発・販売を開始した。日本のアート文化のポテンシャルに目を留め、仮想空間内で「NFTアート」を広めるべく、現在グローバルに活躍中だ。
『江戸バース』とは?
『江戸バース』とは、主に美術品オークション事業を始めとする、アート関連事業を手がける、Shinwa Wise Holdings 株式会社の子会社がコンサルティングするプロジェクトだ。260年以上続いた江戸時代が、もし現在まで続いていたら?そんなイメージを仮想空間で実現すべく江戸城の中に天守閣を作り、大名屋敷やお寺を構えるなど、歴史とテクノロジーを駆使して生まれた、現代版「江戸の町」。この町を監修している人物こそ、徳川家の子孫である德川宗家19代徳川家広氏だ。江戸時代といえば、「封建社会」や「鎖国」のイメージが強いかもしれないが、(現在の資本主義が抱える問題を解決し得る)当時のユニークな文化・風俗に着目した。かつて実存した社会制度に、最先端技術のブロックチェーンや暗号通貨等を取り入れることで、現実とも過去とも言えない「全く新しい世界」が生まれたのだ。
『江戸バース』の特徴と魅力
歴史とバーチャルで彩られた『江戸バース』のコンテンツにおける魅力の一つは、世界中のユーザーが、侍などに扮した自身のアバターを通して、江戸の名所を散策したり、観光することができる点だ。つまり、当時の文化・歴史を体験できるだけでなく、京都で1日だけ舞妓さんに扮する必要もなければ、ナルトのコスプレを徹夜して作る必要もなく、アバターをカスタマイズすることで自分がなりたい姿になれるということ(!)日本文化に対する理解を促進させるだけでなく、『江戸バース』の中では様々な経済活動が出来る。独自のトークン(代用通貨)として小判(Edo Coban)や銭(Edo Zeni)が利用出来るため、ゲームやコンサートを楽しんだり、アートや土地を購入し、購入した土地に屋敷を建てて新たなビジネスを始めることも出来る。ちなみに2022年7月に「大名小路(Daimyokoji)」の土地NFTを販売した際、約1時間後には、予想を上回るペースの申し込みにより、受付が終了したほどだ。
『江戸バース』の発展だけでなく、今後は土地の購入者達がどのようにそれらを有効活用し、コミュニティを切り開いていくのか、目が離せない。もしかしたら2023年以降は、「あつまれどうぶつの森」ならぬ、「ようこそサムライの町」の時代が来るのかも?@edoverse_projectをフォローして、最新ニュースをチェックしてみてね!
仮想空間を通して、現実社会にある問題の解決を目指す!
今後の展望としては、アートが大好きな倉田氏らしく、メタバース内で革新的なアートを生み出すための環境づくりや、「アートの基準」を整備することも重要視しているそう。作品の価値を保つだけではなく、有能なアーティスト達に出展する機会を提供し、作品をコレクションするギャラリー等を設けることも計画中だ。
ただ、多くの可能性を秘めたこのプロジェクトで注目すべきことは、これが地球規模の社会問題を解決する「プラットフォーム」になり得ることだ。コミュニケーションは英語で行い、貧富の差や宗教、年齡や性別に関わらず、世界中の誰もがこの空間に簡単にアクセス出来るように目指している。また、『江戸バース』内で、貢献者に対する教育格差の是正や、貧困問題を解決するための支援プログラム、収入をシェアするシステムの導入等も考えているという。この新たな「江戸の町」に可能性を見出すことで、それまで貧困に直面していた人達が、仮想空間内で収入を得ることで自分の家を建てることだって、そう遠くない未来に起こり得るかもしれない。
多くの要素が混ざり合い、過去と現実とバーチャルが融合した、アーティスティックなプラットフォーム『江戸バース』。自分達が作った仮想空間を通して、少しでも世の中が良くなって欲しい。そんな彼らの真っ直ぐな想いは普遍的で、あらゆる国や時空を超えて、確かにホンモノだと思った。ねぇ、あなたはどう思う?
Edited by: Wakapedia Japan Team