ハイファッションモデルとは、ファッションモデルの中でも特に国内外のブランドのイメージとして雑誌やコマーシャル等で企業の広告塔となる他、パリ・ミラノ・ニューヨーク・ロンドン等で年に二回ずつ行われるファッションウィークでのショーに出演するモデルを指す。メンズモデルの基準としては183センチ以上が一般的で、16歳以降デビューすることが多い。
最近は筋肉質な体型よりも、細身で中性的な外見や、特徴的な顔立ちが好まれる傾向にある。これまで撮影した写真を集めたものをブック、写真とスリーサイズ入りの名刺をコンポジットと呼び、この二つを持ってモデルはキャスティング(オーディション)などの営業回りをする。
ワカペディアの見るハイファッションモデル
メンズコレクションが行われる1月と6月のファッション四大都市(ニューヨーク、ロンドン、ミラノ、パリ)は、私にとって一気にパラダイスになる。それは、街中がイケメン祭りになるから。世界中のイケメンが集まり、ブックを片手にキャスティング(オーディション)を回る。でも反対に、3月と9月は一気に地獄へ落ちたような気分になる。それは、街に細くて背の高い美女ばかりが集まることで、一層自分のコンプレックスが露わになるから。まさかそんな自分が10年後にある日本人モデルの世話をするなんて、思ってもいなかった。
すべては日本在住のフランス人、親友アッシュのせいだ!それは「俺の後輩がミラノコレクションに初挑戦するから、サラ宜しく頼むな!」という彼の一言から始まった。その彼がミラノにある私の実家に来た時の姿といったら、なんとも衝撃的だった。イタリア語はもちろん英語も全く話せない上に、現地のタクシー運転手にお金をぼったくられ、ひどい時差ボケの中、重いスーツケースを引きずりながら歩いてきたのだった。日本語しか話せない彼にモデルエージェント(アイ・ラブ・モデルマネージメント)へ無理矢理連れて行かれ、もっと英語を勉強しろというマネージャーの説教を私も聞かされた挙句、夜のクラブに遊びに行けば、必ずソファーで爆睡してしまうこの男・・・
どこからどう見ても田舎っぺにしか見えなかった上田太輔(Daisuke Ueda 以下ダイちゃん)が、今となっては世界のトップモデル20に選ばれるなんて、全くの予想外だった。ダイちゃんを通して私はヨッシー(林芳昭)タイキ(高橋タイキ)チハル(小椚ちはる)ベン(ベンジャミン・ケン)等、沢山の日本人モデルと知り合う事ができた。ファッションモデル達にとって、海外ブランドのファッションショーやキャンペーンの仕事を取る事は非常に難しく、だからこそとても価値がある。ブランド、リック・オウエンス(Rick Owens)でタイキが初めてパリコレデビューした時は、まるで初めて学芸会に出る息子を見守る母の様な気持ちで、彼のキャットウォークを見届けた。
今回のワカペディアは、そんな世界で活躍する日本人メンズモデル達の素顔に迫ります!
注意※ ファッションウィーク終了後の打ち上げでインタビューをしたので、みんな少しお酒入っています。
サラワカ:は〜い、今回もジャパニーズ・メンズモデル達お疲れさま!今日はワカペディアのインタビューに協力してね!えっと・・・どんな質問を君達にすればいいかな?(ほろ酔い)
モデル全員:知らねーよ!!お前がインタビューしたいって言ったんだろ!!爆笑
サラワカ:あぁそうだね(笑)それじゃあ、モデルという職業を通してワカペディアの読者に伝えたいことは?
ダイスケ:俺が特に伝えたいのは、モデルの仕事は一見華やかに見えるけどそれはほんの一瞬で、ほとんどの時間は泥臭いことばかりに時間を費やしてるってことかな。ファッションショーで歩く時間は一人30秒程度なのに対して、そのショーの為のオーディション会場では寒い中 2~3時間外で待ったりすることがザラにある。その一瞬のために毎日食べ物に気を遣い、ジムに行って身体を鍛えたり、夏に飲むおいしいビールを我慢したりするんだ。
サラワカ:大好きなものを犠牲にしてまでやりたい仕事っていうこと?
ダイスケ:そうだね !やっぱり自分はファッションがすごい好きで、あの一瞬の華やかさと高揚感がやみつきになっているからだと思うな。
ウエマツ:確かにモデルって華やかに見られがちだし、何も考えないでカメラの前に立ってると思われているかもしれないけど、頭使ってやってかないといけない瞬間っていうのもあるんだよね。ただ見た目良くて、背が高くてスタイルが良い人なんていっぱいいるからさ。でも、ある意味バカじゃないと続かない部分っていうのもあるよね(笑)バランスの問題かな?
モデル全員:確かに!!
ヨシアキ:考える賢さっていうのはブランドにもモデルにもある程度は必要だけど、何が売れるか分からないわけで、結局は正解も間違いも無いんだよね。努力でなんとかなる部分と、運に任せるしかない部分が絡み合う業界だからこそ、面白い。そういう意味では、やったもん勝ちなのかも(笑)
サラワカ:なるほどね~!ところで皆はモデルを辞めたら何をやりたいとか考えてるの?
モデル全員:それは絶対モデルに聞いちゃいけない質問だよ!!
アサヒナ:あっ・・・でも僕は実家の名古屋に帰りたいかな(ボソッ)
ロビー:モデルっていうのはね、きっとディズニーランドにいるみたいなもんなんだよ
サラワカ:・・・どういうこと?
ロビー:元々行けるはずじゃなかったと思ってた所に、自分が行けちゃったわけだから。ファンタジーの世界
に飲み込まれるんだよ。
ウエマツ:だからそういう所にいると、先の事が考えられないし、考えたくないって思っちゃうんだよね。
ロビー:一つのアトラクション(ショーに出ること)に乗ったら、また別のアトラクションに乗りたくなるような感覚だよ!(笑)
ミカワイ:俺らジャパニーズモデルにとっては、やっぱりヨーロッパでデビューするのが夢なんだよ。夢が叶った瞬間、それは仕事になっちゃうけどね。だから最終的には、夢から仕事に変わってしまう(笑)
サラワカ:そっか~。ピーターパンではずっといられないって事だね。
タイキ: モデルの世界って、こうすれば売れる!っていう答えのない世界だと思うん
だよね。もしあったとしたら、それを知ってるモデルは皆、誰もが売れっ子になれるわけだし。だからこそ自分を見失いそうになった時は、まず自分自身を信じることが一番大事だと思うんだよね。
サラワカ:タイキ良い事言うね~。じゃあ今日は色々良い事聞いて満足
したから、いつも最後にする質問「キスしてちょーだい!」の代わりに、みんなにサラワカから投げキッスを・・・
モデル全員:いらねーよ!(笑)
サラワカ:えぇ〜、冷たい子達ね(笑)それじゃ、これからモデルを目指す子達へ一言!
モデル全員:良い夢みろよ!!
(爆笑)
Description & Interview: Sara Waka
Edited by:Yuliette